「1時間残業したら、給料はいくら増えるんだろう?」
「定時を過ぎて働いたのに、思ったより残業代が少ない……」
新社会人になって初めて給与明細を見たとき、残業代の計算方法が分からず、疑問に感じる人も多いと思います。
残業代は、単純に
月給を労働時間で割って、残業時間を掛けるだけ
ではありません。
働いた時間や時間帯によって、適用される割増率が変わります。
さらに、会社の「所定労働時間」と、法律上の「法定労働時間」は別物です。
この違いを知らないと、
「定時を過ぎたから、すべて1.25倍になる」
と勘違いしてしまう可能性があります。
この記事では、新社会人でも自分の残業代をおおよそ確認できるように、
- 残業代の基本的な仕組み
- 法定内残業と法定時間外労働の違い
- 時間外・深夜・休日労働の割増率
- 月給から残業代を計算する方法
- 給与明細で確認するポイント
を分かりやすく解説します。
- 結論:残業代は「1時間あたりの賃金×割増率×残業時間」で計算する
- そもそも残業代とは?
- 「所定労働時間」と「法定労働時間」の違い
- 定時を過ぎても1.25倍にならないことがある
- 残業代の主な割増率
- 割増条件が重なると割増率も加算される
- 残業代の割増率まとめ
- 「残業した時間」だけでは金額を計算できない
- 月給制の残業代を計算する方法
- 1か月の平均所定労働時間を確認する
- 月給24万円の残業代を計算してみる
- 残業時間別の金額を比較
- 月給24万円でも全額を使うとは限らない
- 通勤手当が含まれている場合の計算例
- 深夜残業がある場合の計算例
- 固定残業代とは?
- 固定残業時間を超えたら追加の残業代が必要
- 「残業していないから固定残業代を返して」は基本的に別問題
- 固定残業代がある人の確認ポイント
- 残業時間は1分単位で考えるのが原則
- 給与明細で残業代を確認する方法
- 自分の記録と給与明細を照らし合わせる
- 残業代が合わないと感じたときの確認手順
- 残業代が支払われていない可能性がある場合
- 残業代で覚えておきたい5つのポイント
- まとめ:残業代は「時間」だけでなく「働いた条件」を確認しよう
- 厚生労働省|法定労働時間と割増賃金について
- 厚生労働省|労働条件・職場環境に関するルール
- 厚生労働省|割増賃金の計算方法
- 厚生労働省|固定残業代に関するQ&A
- 厚生労働省|賃金請求権の消滅時効
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結論:残業代は「1時間あたりの賃金×割増率×残業時間」で計算する
残業代の基本的な計算式は、次のとおりです。
1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間
たとえば、1時間あたりの賃金が1,500円で、25%の割増が適用される残業を10時間した場合は、
1,500円 × 1.25 × 10時間=18,750円
となります。
ただし、実際に計算するには、次の3つを確認しなければなりません。
- 自分の1時間あたりの賃金はいくらか
- どの種類の残業に当てはまるか
- 何%の割増率が適用されるか
特に重要なのが、定時を過ぎた時間が必ずしも25%割増になるとは限らないことです。
そもそも残業代とは?
残業代とは、決められた労働時間を超えて働いた場合などに、会社から支払われる賃金です。
一般的には「定時を過ぎて働いた時間=残業」と考えられています。
しかし、残業には大きく分けて次の2種類があります。
- 法定内残業
- 法定時間外労働
この2つは、同じように定時後に働いていても、法律上の扱いが異なります。
「所定労働時間」と「法定労働時間」の違い
残業代を理解するうえで、最初に知っておきたいのが、
所定労働時間と法定労働時間の違い
です。
所定労働時間とは
所定労働時間とは、会社が就業規則や雇用契約で決めている労働時間です。
たとえば、
- 始業:9時
- 終業:17時
- 休憩:1時間
という会社なら、実際に働く時間は7時間です。
この場合、会社の所定労働時間は1日7時間になります。
法定労働時間とは
法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限です。
原則として、
1日8時間・1週間40時間
までとされています。
この時間を超えて働いた場合に、法律上の「時間外労働」となり、原則25%以上の割増賃金が必要になります。
定時を過ぎても1.25倍にならないことがある
たとえば、所定労働時間が1日7時間の会社で、9時から18時まで働いたとします。
休憩が1時間なら、実際の労働時間は8時間です。
会社の定時が17時だった場合、17時から18時までの1時間は、会社の決めた時間を超えているため「残業」ではあります。
しかし、法律上の1日8時間は超えていません。
そのため、この1時間は一般的に法定内残業と呼ばれ、法律上は25%以上の割増が義務づけられていない場合があります。
会社のルールによっては割増されることもありますが、少なくとも通常の1時間分の賃金は支払われます。
一方、18時を超えて働き、1日の実労働時間が8時間を超えた部分は、法定時間外労働になります。
整理すると次のようになります。
9時から17時まで働いた場合
- 休憩1時間
- 実労働時間7時間
- 通常勤務
17時から18時まで働いた場合
- 会社の所定労働時間は超えている
- 法律上の8時間以内
- 法定内残業
18時以降も働いた場合
- 1日の実労働時間が8時間を超える
- 法定時間外労働
- 原則25%以上の割増
つまり、
会社の定時を超えた時間と、25%割増になる時間は、必ずしも同じではありません。
残業代の主な割増率
残業代の割増率は、働いた時間や条件によって変わります。
主な割増率は次のとおりです。
法定時間外労働:25%以上
1日8時間または1週間40時間を超えて働いた場合は、原則として25%以上の割増賃金が支払われます。
計算では、
1時間あたりの賃金 × 1.25
となります。
1時間あたりの賃金が1,500円なら、
1,500円 × 1.25=1,875円
です。
深夜労働:25%以上
午後10時から午前5時までの間に働いた場合は、深夜労働として25%以上の割増賃金が必要です。
深夜割増は、1日8時間を超えているかどうかに関係なく適用されます。
たとえば、アルバイトなどで18時から23時まで働いた場合、22時から23時までの1時間には深夜割増が適用されます。
法定休日労働:35%以上
法律上の「法定休日」に働いた場合は、35%以上の割増賃金が必要です。
計算では、
1時間あたりの賃金 × 1.35
となります。
ただし、会社が休みと定めている日のすべてが、法律上の法定休日とは限りません。
たとえば、土日休みの会社でも、
- 日曜日が法定休日
- 土曜日が所定休日
となっている場合があります。
土曜日に出勤したからといって、必ず35%割増になるわけではありません。
その週の労働時間や、就業規則で定められた法定休日を確認する必要があります。
月60時間を超える時間外労働:50%以上
1か月の法定時間外労働が60時間を超えた場合、60時間を超えた部分については50%以上の割増率が適用されます。
以前は中小企業に適用の猶予がありましたが、2023年4月1日から中小企業にも適用されています。
計算では、
1時間あたりの賃金 × 1.50
となります。
ただし、月60時間を超える残業は、金額だけでなく体調や働き方の面でも注意が必要です。
割増条件が重なると割増率も加算される
時間外労働と深夜労働など、複数の条件が重なった場合は、割増率が加算されます。
時間外労働+深夜労働
- 時間外労働:25%以上
- 深夜労働:25%以上
- 合計:50%以上
そのため、
1時間あたりの賃金 × 1.50
で計算します。
法定休日労働+深夜労働
- 法定休日労働:35%以上
- 深夜労働:25%以上
- 合計:60%以上
この場合は、
1時間あたりの賃金 × 1.60
となります。
月60時間超の時間外労働+深夜労働
- 月60時間超の時間外労働:50%以上
- 深夜労働:25%以上
- 合計:75%以上
この場合は、
1時間あたりの賃金 × 1.75
で計算します。
残業代の割増率まとめ
基本的な割増率をまとめると、次のようになります。
| 働き方 | 割増率 | 計算時の倍率 |
|---|---|---|
| 法定内残業 | 法律上の割増義務なし | 原則1.00倍 |
| 法定時間外労働 | 25%以上 | 1.25倍以上 |
| 深夜労働 | 25%以上 | 1.25倍以上 |
| 法定休日労働 | 35%以上 | 1.35倍以上 |
| 時間外+深夜 | 50%以上 | 1.50倍以上 |
| 法定休日+深夜 | 60%以上 | 1.60倍以上 |
| 月60時間超の時間外労働 | 50%以上 | 1.50倍以上 |
| 月60時間超+深夜 | 75%以上 | 1.75倍以上 |
会社が法律より高い割増率を定めている場合は、会社の就業規則や賃金規程が適用されます。
そのため、自分の正確な残業代を確認するときは、雇用契約書や就業規則も確認しましょう。
「残業した時間」だけでは金額を計算できない
同じ10時間の残業でも、働いた条件によって金額は変わります。
たとえば、
- すべて通常の時間外労働だった
- 午後10時以降の深夜残業が含まれていた
- 法定休日に働いた
- 1か月の時間外労働が60時間を超えた
といった違いによって、適用される倍率が変わるからです。
残業代を確認するときは、単に合計時間を見るのではなく、
いつ・何時から何時まで・どの休日に働いたのか
まで確認することが大切です。
月給制の残業代を計算する方法
月給制の会社員も、残業代を計算するときは、最初に月給を1時間あたりの賃金へ換算します。
基本的な計算式は、次のとおりです。
残業代の計算に含まれる月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間=1時間あたりの賃金
その後、求めた金額に割増率と残業時間を掛けます。
1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間=残業代
ここで注意したいのは、単純に「月給÷160時間」と計算すれば、すべての会社で正確になるわけではないことです。
月給制の場合、原則として、会社の年間休日や1日の所定労働時間から求めた1年間における1か月平均所定労働時間数を使います。
1か月の平均所定労働時間を確認する
1か月の平均所定労働時間は、会社によって異なります。
一般的には、次のような考え方で計算できます。
年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12か月
たとえば、次の条件で考えてみます。
- 年間休日:125日
- 1年間の日数:365日
- 年間の所定労働日数:240日
- 1日の所定労働時間:8時間
この場合は、
240日 × 8時間 ÷ 12か月=160時間
となります。
したがって、この会社の1か月平均所定労働時間は160時間です。
ただし、年間休日や所定労働時間は会社によって異なります。
正確な数字は、次の書類などで確認しましょう。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 就業規則
- 賃金規程
- 会社の年間カレンダー
給与明細だけでは分からない場合は、会社の給与担当者に確認する方法もあります。
月給24万円の残業代を計算してみる
ここからは、月給24万円の新社会人を例に計算します。
分かりやすくするため、次の条件とします。
- 残業代の計算に含まれる月給:24万円
- 1か月平均所定労働時間:160時間
- 法定時間外労働:10時間
- 割増率:25%
手順1:1時間あたりの賃金を求める
240,000円 ÷ 160時間=1,500円
1時間あたりの賃金は1,500円です。
手順2:1時間あたりの時間外労働の賃金を求める
法定時間外労働の割増率は25%以上なので、1.25倍します。
1,500円 × 1.25=1,875円
残業1時間あたりの金額は1,875円です。
手順3:残業時間を掛ける
10時間残業した場合は、
1,875円 × 10時間=18,750円
となります。
したがって、この条件での残業代は18,750円です。
残業時間別の金額を比較
同じ条件で、残業時間ごとの金額を計算すると次のようになります。
| 法定時間外労働 | 残業代の目安 |
|---|---|
| 1時間 | 1,875円 |
| 5時間 | 9,375円 |
| 10時間 | 18,750円 |
| 20時間 | 37,500円 |
| 30時間 | 56,250円 |
ただし、これは24万円の全額が残業代の計算に含まれ、平均所定労働時間が160時間だった場合の例です。
実際には手当の内容や会社の所定労働時間によって金額が変わります。
月給24万円でも全額を使うとは限らない
残業代を計算するとき、給与明細に書かれたすべての支給額を使うとは限りません。
原則として、通常の労働時間に対して支払われる賃金は、残業代の計算に含まれます。
一方で、法律上、次の賃金は計算の基礎から除外される場合があります。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
ただし、手当の名称だけで一律に除外できるわけではありません。
たとえば「住宅手当」という名前でも、住宅費に関係なく全員へ一律で支給されている場合などは、残業代の計算に含まれる可能性があります。
除外できるかどうかは、手当の名前ではなく、実際の支給条件や内容で判断されます。
通勤手当が含まれている場合の計算例
たとえば、給与の内訳が次のようになっていたとします。
- 基本給:230,000円
- 通勤手当:10,000円
- 総支給額:240,000円
通勤距離や実際の交通費に応じて支払われる通勤手当が、割増賃金の計算から除外できるケースなら、計算に使う金額は23万円です。
1か月平均所定労働時間を160時間とすると、
230,000円 ÷ 160時間=1,437.5円
時間外労働1時間あたりの金額は、
1,437.5円 × 1.25=約1,797円
10時間なら、
約1,797円 × 10時間=約17,970円
となります。
先ほどの24万円すべてを使った18,750円とは、金額が異なります。
このように、同じ総支給24万円でも、給与の内訳によって残業代が変わることがあります。
深夜残業がある場合の計算例
先ほどと同じく、
- 1時間あたりの賃金:1,500円
- 時間外労働の割増:25%
- 深夜労働の割増:25%
という条件で考えます。
午後10時から午前5時までの時間外労働は、時間外労働と深夜労働の割増が重なるため、合計50%以上の割増です。
1,500円 × 1.50=2,250円
したがって、深夜の時間外労働を3時間した場合は、
2,250円 × 3時間=6,750円
となります。
通常の時間外労働3時間なら、
1,500円 × 1.25 × 3時間=5,625円
なので、同じ3時間でも深夜に働いたほうが割増分は大きくなります。
固定残業代とは?
求人票や給与明細で、
- 固定残業代
- みなし残業代
- 定額残業手当
- 業務手当
などの表記を見かけることがあります。
固定残業代とは、一定時間分の時間外労働、休日労働または深夜労働の割増賃金を、毎月定額で支払う仕組みです。
たとえば、
月給24万円のうち、固定残業代3万円・20時間分を含む
というような給与体系です。
この場合、残業が少ない月でも、原則として決められた固定残業代が支払われます。
しかし、固定残業代があるからといって、会社が何時間でも追加料金なしで残業させられるわけではありません。
固定残業時間を超えたら追加の残業代が必要
たとえば、固定残業代が20時間分含まれている人が、実際には25時間の対象残業をしたとします。
この場合、固定残業代でカバーされるのは20時間分です。
超過した5時間分については、会社が別途残業代を支払う必要があります。
また、固定残業代として支払われている金額が、法律上必要な割増賃金額を下回っている場合も、会社は不足分を支払う必要があります。
固定残業代を採用する場合は、通常の賃金部分と固定残業代部分を判別できることが必要であり、固定残業代だけで法定額に足りなければ差額の支払いが必要です。
「残業していないから固定残業代を返して」は基本的に別問題
固定残業代が給与条件として定められている場合、実際の残業が固定時間より少なかったからといって、通常は働いた人が差額を会社へ返す仕組みではありません。
たとえば20時間分の固定残業代が設定されていて、実際の対象残業が5時間だったとしても、最初から約束された固定残業代は原則として支給されます。
反対に、実際の残業が20時間を超えた場合は、超過分の支払いが必要です。
そのため固定残業代は、
「毎月20時間まで無料で残業させる制度」
ではなく、
「一定時間分の残業代を、あらかじめ定額で支払う制度」
と考えると理解しやすいです。
固定残業代がある人の確認ポイント
固定残業代が含まれている場合は、次の点を確認しましょう。
1.基本給と固定残業代が分けて書かれているか
給与明細や労働条件通知書に、
- 基本給はいくらか
- 固定残業代はいくらか
が分かるように記載されているか確認します。
2.何時間分なのか
「固定残業代3万円」とだけ書かれているのではなく、何時間分の時間外労働などに対応する金額なのかを確認しましょう。
3.何の割増賃金を含むのか
固定残業代が、
- 時間外労働
- 休日労働
- 深夜労働
のどこまで含んでいるのかも重要です。
4.超過分が支払われているか
固定残業時間を超えた月は、給与明細に追加の残業手当があるか確認します。
残業時間は1分単位で考えるのが原則
「うちの会社は15分単位だから、14分の残業はゼロになる」
という話を聞くことがあります。
しかし、実際に働いた時間は、原則として記録し、その時間に応じた賃金を支払う必要があります。
会社が毎日15分未満や30分未満の労働時間を一律で切り捨てる扱いは、適切ではありません。
一定の条件では、1か月分の時間外労働などを合計した後に生じた1時間未満の端数について、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理が認められています。
ただし、この処理を1日ごとに行うことはできません。
たとえば毎日14分残業しているのに、毎回ゼロとして扱われているなら、実際の労働時間と給与明細を確認したほうがよいでしょう。
給与明細で残業代を確認する方法
給与明細を受け取ったら、次の項目を確認します。
勤怠欄
- 時間外労働の時間
- 深夜労働の時間
- 休日労働の時間
- 出勤日数
- 欠勤や遅刻・早退
支給欄
- 時間外手当
- 残業手当
- 深夜手当
- 休日出勤手当
- 固定残業代
- 業務手当
会社によって項目名は異なります。
「時間外手当」ではなく「超過勤務手当」などと書かれていることもあります。
自分の記録と給与明細を照らし合わせる
残業代が正しいか確認するためには、会社の記録だけに頼らず、自分でも働いた時間を記録しておくことが大切です。
たとえば、次の情報を残しておきます。
- 出勤した時刻
- 退勤した時刻
- 休憩した時間
- 残業を指示された内容
- 休日に働いた日
- 午後10時以降に働いた時間
記録方法は、スマートフォンのメモやカレンダーでも構いません。
タイムカード、勤怠システムの画面、業務メール、パソコンのログなども、実際に働いた時間を確認する材料になります。
残業代が合わないと感じたときの確認手順
計算した金額と給与明細が合わなくても、すぐに未払いと断定するのは避けましょう。
会社独自の計算方法や締め日の違いが影響している場合もあるからです。
次の順番で確認すると整理しやすくなります。
手順1:給与の締め日を確認する
たとえば、給与が「毎月末締め」ではなく「毎月15日締め」の場合、月後半の残業代は翌月以降の給与に反映されることがあります。
手順2:所定労働時間を確認する
自分で160時間として計算していても、会社の平均所定労働時間が異なれば金額は変わります。
手順3:給与の内訳を確認する
基本給だけでなく、残業代の計算に含まれる手当と除外される手当を確認します。
手順4:残業の種類を分ける
- 法定内残業
- 法定時間外労働
- 深夜労働
- 法定休日労働
を分けて計算します。
手順5:固定残業代の有無を確認する
給与に固定残業代が含まれている場合は、対象時間数と超過時間を確認します。
手順6:会社へ確認する
分からない場合は、給与担当者や上司へ、
「今後、自分でも給与明細を確認できるようになりたいので、残業代の計算方法を教えていただけますか」
と聞いてみましょう。
責めるように聞くのではなく、計算方法を確認したいという伝え方にすると相談しやすくなります。
残業代が支払われていない可能性がある場合
確認しても計算が合わず、会社から十分な説明を受けられない場合は、記録や書類を整理しておきましょう。
残しておきたいものは次のとおりです。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 就業規則
- 給与明細
- タイムカード
- 勤怠システムの記録
- 業務メール
- パソコンの使用記録
- 自分で記録した出退勤時間
現在、割増賃金を含む賃金請求権の消滅時効は、法律上5年へ延長されたうえで、当分の間は3年とされています。古い記録ほど確認が難しくなるため、疑問を感じた段階で記録を残しておくことが大切です。
自分だけで判断するのが難しい場合は、会社の相談窓口、労働基準監督署、都道府県労働局などへ相談する方法もあります。
残業代で覚えておきたい5つのポイント
残業代の計算で特に大切なのは、次の5つです。
- 定時後の労働が、すべて25%割増になるとは限らない
- 月給制でも、1時間あたりの賃金に換算して計算する
- 給与のすべてが計算に含まれるとは限らない
- 固定残業時間を超えた分は、追加の支払いが必要
- 給与明細と実際の労働時間を照らし合わせる
難しく見える残業代も、
基礎となる月給を確認する
↓
1時間あたりの賃金を求める
↓
残業の種類ごとに割増率を掛ける
という順番で整理すれば、自分でもおおよその金額を確認できます。
まとめ:残業代は「時間」だけでなく「働いた条件」を確認しよう
残業代の基本的な計算式は、
1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間
です。
ただし、正確に計算するためには、
- 所定労働時間
- 法定労働時間
- 月給の内訳
- 時間外・深夜・休日の区分
- 固定残業代の有無
- 給与の締め日
を確認する必要があります。
新社会人のうちは、給与明細に書かれている金額をそのまま受け取ってしまいがちです。
私も、働き始めるまでは「残業時間を時給に掛ければ終わり」くらいに考えていました。
しかし、自分の給料がどのように計算されているのかを知ることは、会社を疑うためではありません。
自分の働いた時間と給料を、自分で理解できるようになるためです。
まずは次の給与明細を受け取ったときに、
- 残業時間
- 残業手当
- 深夜手当
- 固定残業代
の項目を一度確認してみましょう。
全部を完璧に計算できなくても、給与明細に興味を持つことが、お金を理解する最初の一歩になります。
参考資料一覧
厚生労働省|法定労働時間と割増賃金について
1日8時間・週40時間という原則、時間外・休日・深夜労働の割増率、割増率が重なる場合の扱いを確認できます。
厚生労働省|労働条件・職場環境に関するルール
法定労働時間、36協定、時間外労働の上限、割増賃金率を確認できます。
厚生労働省|割増賃金の計算方法
月給制を含む割増賃金の具体的な計算方法を確認できます。
厚生労働省|固定残業代に関するQ&A
固定残業代の明示事項と、固定時間を超えた部分の追加支払いについて確認できます。
厚生労働省|賃金請求権の消滅時効
未払い残業代を含む賃金請求権の時効について確認できます。
関連記事
※この記事では、一般的な労働時間制度を前提に残業代の仕組みを解説しています。
実際の計算方法は、会社の所定労働時間、変形労働時間制、手当の内容、就業規則などによって異なる場合があります。
正確な金額は、労働条件通知書、就業規則、給与明細などを確認してください。疑問が解消しない場合は、会社の給与担当者や公的な労働相談窓口へ相談しましょう。


