所得税は給料からいくら引かれる?新社会人向けにわかりやすく解説

給料・手取り

初めて給料明細を見たとき、

「所得税って何のお金?」

「毎月いくら引かれるの?」

「給料に税率をかければ計算できるの?」

と疑問に感じた人も多いのではないでしょうか。

私も初めて給料を受け取ったとき、額面どおりの金額が振り込まれるわけではないことは知っていました。

しかし、健康保険や厚生年金、雇用保険に加えて所得税まで引かれているのを見て、

「結局、どうやって金額が決まっているんだろう?」

と思いました。

結論からいうと、会社員の所得税は、勤務先が毎月の給料からあらかじめ差し引いています。

ただし、

額面給与に税率をそのままかけているわけではありません。

毎月の給料から社会保険料などを差し引いた金額や、扶養している家族の人数、勤務先へ提出した書類などによって、天引きされる所得税は変わります。

この記事では、新社会人向けに、

  • 所得税とは何か
  • 給料からいくら引かれるのか
  • 人によって天引き額が違う理由
  • 給料明細で確認する場所
  • 年末調整で何が行われるのか

を初心者にも分かるように解説します。

所得税の仕組みを知れば、給料明細を見たときの、

「よく分からないけどお金が引かれている」

という不安を減らせます。


この記事で分かること

  • 所得税が何に対してかかる税金なのか
  • 毎月の所得税が決まる仕組み
  • 額面給与だけでは天引き額を判断できない理由
  • 新社会人が給料明細で確認すべき項目
  • 年末調整で税額が精算される仕組み

この記事がおすすめな人

  • 初めて給料明細を受け取った新社会人
  • 所得税がいくら引かれるのか知りたい人
  • 給料から引かれるお金の仕組みを学びたい人
  • 額面給与と手取りの違いがよく分からない人
  • 所得税と住民税の違いを知りたい人

所得税とは、所得に対してかかる国の税金

所得税とは、個人が1年間に得た所得に対してかかる国の税金です。

会社員の場合は、勤務先から受け取る給料や賞与などが主な対象になります。

ここで注意したいのが、

受け取った給料の全額に、そのまま所得税がかかるわけではない

ということです。

所得税の仕組みを理解するためには、次の3つの言葉を分けて考える必要があります。

収入

収入とは、会社から受け取る給料や賞与などの金額です。

一般的には、税金や社会保険料が引かれる前の「額面給与」を指します。

たとえば、基本給や残業代、各種手当などを合計した金額が給与収入になります。

所得

所得とは、収入から必要経費に相当する金額を差し引いたものです。

会社員の場合、自営業者のように仕事で使った経費を一つずつ計算する代わりに、収入に応じて一定額を差し引く仕組みがあります。

これを給与所得控除といいます。

そのため、

給与収入=所得税がかかる金額

ではありません。

課税所得

課税所得とは、所得からさらに各種控除を差し引いたあとの金額です。

代表的な控除には、次のようなものがあります。

  • 基礎控除
  • 社会保険料控除
  • 扶養控除
  • 生命保険料控除
  • 配偶者控除

最終的には、この課税所得をもとに年間の所得税が計算されます。

所得税が決まるまでの大まかな流れは、次のとおりです。

給与収入

給与所得控除を差し引く

給与所得

基礎控除や社会保険料控除などを差し引く

課税所得

所得税率をかける

年間の所得税額が決まる

つまり、会社から受け取った額面給与のすべてに税金がかかるわけではありません。

いくつかの控除を差し引いたあとに、税金の対象となる金額が決まります。


会社員の所得税は給料から先に引かれる

会社員の場合、所得税を毎月自分で税務署へ支払うわけではありません。

勤務先が給料を支払うときに、所得税をあらかじめ差し引き、本人に代わって国へ納めています。

この仕組みを源泉徴収といいます。

会社員の所得税は、次のような流れで納められています。

会社が給料を計算する

給料から所得税を差し引く

残った金額を従業員へ支払う

会社が差し引いた所得税を国へ納める

そのため、会社員は毎月自分で所得税を計算して、税務署へ振り込む必要は基本的にありません。

給料明細を見ると、控除欄には一般的に次のような項目が記載されています。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税

これらはすべて給料から引かれるため、同じようなお金に見えるかもしれません。

しかし、所得税や住民税は「税金」、健康保険料や厚生年金保険料は「社会保険料」です。

目的も計算方法も異なります。


所得税と社会保険料は別のもの

給料から引かれるお金を、すべて税金だと思っている人も少なくありません。

しかし、所得税と社会保険料は別のものです。

所得税

所得税は、所得に応じて国へ納める税金です。

道路や教育、公共サービスなど、国のさまざまな支出に使われます。

健康保険料

健康保険料は、病院などで医療を受けたときの自己負担を軽くするための保険料です。

会社員の場合、保険料は原則として会社と本人で負担します。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、将来の老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金にも関係する保険料です。

こちらも、会社員の場合は原則として会社と本人で負担します。

雇用保険料

雇用保険料は、失業したときの給付や育児休業給付などを支えるための保険料です。

つまり、給料明細を見るときは、

税金と社会保険料を分けて考えること

が大切です。


毎月引かれる所得税は最終決定額ではない

新社会人が特に知っておきたいのが、

毎月の給料から引かれている所得税は、最終的に確定した税額ではない

ということです。

会社は毎月の給料を支払う時点では、その人の1年間の収入や控除を完全には把握できません。

たとえば、1年の途中で次のような変化が起こる可能性があります。

  • 残業代が増えた
  • 給料が上がった
  • 賞与を受け取った
  • 扶養家族が増えた
  • 生命保険料控除を申告した
  • 住宅ローン控除の対象になった
  • 年の途中で転職した

そのため、毎月の給料では、国が定めた源泉徴収税額表などをもとに、所得税の概算額を差し引いています。

そして、年末に1年間の給与や控除を確認し、正しい所得税額を計算します。

これが年末調整です。

多く引かれていた場合

1年間で本来納める所得税よりも、毎月の天引き額の合計が多かった場合は、差額が戻ってくることがあります。

給与明細には「年末調整還付」などの名称で記載されることがあります。

少なく引かれていた場合

反対に、本来納める所得税よりも、毎月の天引き額が少なかった場合は、不足分が追加で差し引かれることがあります。

つまり、年末調整は、

毎月いったん概算で支払っていた所得税を、年末に正しい金額へ合わせる作業

と考えると分かりやすいです。


所得税はいくら引かれる?

結論として、所得税は、

額面給与が同じなら、全員が同じ金額になるわけではありません。

毎月の給料から引かれる所得税は、主に次の条件によって変わります。

  1. その月の給与額
  2. 社会保険料などを差し引いたあとの金額
  3. 扶養親族等の人数
  4. 扶養控除等申告書を提出しているか
  5. 残業代や手当の金額
  6. 賞与の有無

そのため、

「月給24万円なら所得税は必ず○円」

と一律には言えません。

同じ額面24万円でも、扶養している家族の有無や社会保険料の金額、勤務先へ提出した書類などによって、天引き額が変わる可能性があります。


所得税は額面給与だけを見ても分からない

所得税の天引き額を確認するときは、額面給与だけを見るのではなく、給料明細の複数の項目を確認する必要があります。

1.総支給額

総支給額とは、基本給や残業代、各種手当などを合計した金額です。

一般的に「額面給与」と呼ばれている金額です。

2.非課税となる手当

会社から支給される手当の中には、一定の条件や範囲内で所得税がかからないものがあります。

代表的なものが通勤手当です。

そのため、総支給額のすべてが同じように所得税の計算対象になるとは限りません。

3.社会保険料

健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などです。

毎月の源泉徴収税額は、給与から社会保険料等を差し引いたあとの金額をもとに確認されます。

4.扶養親族等の人数

扶養している家族の人数などによって、毎月引かれる所得税額が変わることがあります。

新卒で独身、扶養家族がいない場合は、扶養親族等の人数が0人になるケースが一般的です。

ただし、家庭状況や提出書類によって異なるため、自分が勤務先へ提出した書類を確認しましょう。

5.所得税の欄

給料明細の控除欄にある「所得税」や「源泉所得税」と書かれた項目が、その月に天引きされた所得税です。

まずは実際の給料明細を見て、自分が毎月いくら引かれているのか確認してみましょう。


「給与の5%が引かれる」とは限らない

所得税には税率がありますが、毎月の給料に税率をそのままかけて天引きしているわけではありません。

よくある誤解が、

額面給与24万円×5%=所得税1万2,000円

という計算です。

実際には、給与収入から給与所得控除や所得控除などを差し引き、年間の課税所得を計算したうえで所得税額が決まります。

さらに、毎月の給料から引かれる所得税は、源泉徴収税額表などをもとに計算されます。

そのため、

額面給与×所得税率

という単純な計算とは一致しません。

所得税率の5%は、額面給与のすべてに対してかかる割合ではないのです。

新社会人の場合、給料明細を見て、

「思っていたより所得税が少ない」

と感じることもあります。

これは、額面給与全体へ単純に税率がかかっているわけではなく、給与所得控除や各種所得控除があるためです。

一方で、残業代や賞与が増えた月は、普段より所得税の天引き額が増えることがあります。

大切なのは、毎月の金額だけを見て損得を判断するのではなく、

所得税は1年間の所得をもとに最終的な金額が決まる

と理解しておくことです。

月給24万円の場合、所得税はいくら引かれる?

ここからは、額面給与が月24万円の新社会人を例に考えてみます。

ただし、先ほど説明したとおり、所得税は額面給与だけでは決まりません。

毎月の源泉所得税は、原則として次の金額を国税庁の源泉徴収税額表へ当てはめて確認します。

額面給与

非課税となる手当などを除く

健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などを差し引く

社会保険料等控除後の給与

源泉徴収税額表で所得税を確認する

国税庁も、源泉徴収税額表へ当てはめる金額は、その月の給与から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを差し引いたあとの金額としています。

月給24万円の新社会人の例

次のような条件を想定します。

  • 額面給与:24万円
  • 独身
  • 扶養親族等:0人
  • 勤務先へ扶養控除等申告書を提出済み
  • 毎月同じ会社から給与を受け取っている
  • 大きな残業代や追加手当はない

月給24万円から社会保険料等を差し引くと、税額表へ当てはめる金額は、一般的に額面24万円より低くなります。

社会保険料等控除後の給与が20万円台前半になった場合、令和8年分の源泉徴収税額表では、扶養親族等0人の甲欄における所得税と復興特別所得税の合計額は、おおむね月4,000円台になるケースがあります。

そのため、月給24万円の新社会人であれば、

毎月の所得税は約4,000〜5,000円程度になる可能性がある

と考えると、ひとつの目安になります。

ただし、これはあくまで例です。

実際の金額は、次の条件によって変わります。

  • 健康保険料の金額
  • 厚生年金保険料の金額
  • 雇用保険料の金額
  • 通勤手当などの非課税手当
  • 残業代
  • 各種手当
  • 扶養親族等の人数
  • 扶養控除等申告書の提出状況

したがって、

月給24万円なら必ず所得税が4,000円台になる

という意味ではありません。

正確な金額は、自分の給料明細に記載された「所得税」の欄を確認しましょう。


社会保険料が引かれていない月は所得税が違うことがある

入社直後の給料明細を見たときに、

「先月と所得税が違う」

と感じることがあります。

その理由のひとつが、社会保険料が給料から引かれ始める時期です。

会社によっては、社会保険料を当月の給料から引く場合と、翌月の給料から引く場合があります。

社会保険料がまだ引かれていない月は、源泉徴収税額表へ当てはめる金額が通常より大きくなる可能性があります。

たとえば、同じ額面24万円でも、

社会保険料が引かれている月

額面給与24万円

社会保険料等を差し引く

残った金額を税額表へ当てはめる

社会保険料が引かれていない月

額面給与24万円

差し引く社会保険料等が少ない

通常より大きな金額を税額表へ当てはめる

という違いが生まれます。

その結果、初任給と翌月以降で所得税の金額が変わることがあります。

所得税だけを見て、

「会社の計算が間違っている」

と判断するのではなく、健康保険料や厚生年金保険料がいつから引かれているかも一緒に確認しましょう。


「甲欄」と「乙欄」で所得税が大きく変わる

源泉徴収税額表には、主に「甲欄」と「乙欄」があります。

この違いを知らないと、

「同じくらいの給料なのに、所得税がかなり高い」

と驚くことがあります。

甲欄とは

甲欄は、勤務先へ「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に使われます。

一般的に、主な勤務先の給料には甲欄が適用されます。

新卒で会社へ入社し、入社時に必要書類を提出していれば、通常は甲欄で計算されるケースが多いです。

乙欄とは

乙欄は、勤務先へ扶養控除等申告書を提出していない人などに使われます。

国税庁は、扶養控除等申告書を提出している人には甲欄、提出していない人には乙欄を使用すると説明しています。

乙欄は甲欄よりも、毎月の源泉所得税が高くなることがあります。

たとえば、次のような場合です。

  • 副業先から給料を受け取っている
  • 複数の会社で働いている
  • 扶養控除等申告書を提出していない
  • 入社時の書類提出が完了していない

扶養控除等申告書は、基本的に主な勤務先1か所へ提出します。

複数の勤務先へ同時に提出するものではありません。

所得税が高すぎると感じたら確認すること

給料に対して所得税が明らかに高いと感じた場合は、次の順番で確認してみましょう。

  1. 給料明細の所得税額を確認する
  2. 扶養控除等申告書を提出したか思い出す
  3. 会社の給与担当者へ甲欄か乙欄か確認する
  4. 副業や複数の勤務先があるか確認する
  5. 年末調整や確定申告が必要か確認する

書類の提出漏れによって乙欄が使われている場合は、勤務先へ早めに相談しましょう。


扶養親族等の人数でも所得税は変わる

甲欄では、扶養親族等の人数によって源泉徴収される所得税額が変わります。

扶養親族等の人数が多いほど、毎月の源泉所得税が少なくなる場合があります。

ただし、

一緒に暮らしている家族の人数=税額表上の扶養親族等の人数

とは限りません。

年齢や所得、生計の状況など、税法上の条件を満たす必要があります。

また、障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生などに該当する場合は、源泉徴収税額表で使用する扶養親族等の数へ加算されることがあります。

新社会人で、

  • 独身
  • 子どもなし
  • 親や兄弟を扶養していない

という場合は、扶養親族等0人として計算されるケースが一般的です。

ただし、家庭の状況によって異なるため、分からない場合は勤務先の給与担当者や税務署などへ確認しましょう。


残業代が増えると所得税も増える?

残業代が増えた月は、所得税も増えることがあります。

残業代は基本給と同じように給与として支給されるため、社会保険料等控除後の給与が増えると、源泉徴収税額表で該当する金額の範囲も変わる可能性があります。

たとえば、

通常月
基本給+手当=24万円

残業が多い月
基本給+手当+残業代=27万円

となれば、残業が多い月のほうが所得税の天引き額も高くなる可能性があります。

ただし、

「所得税が増えたから、残業した分がすべて損になる」

わけではありません。

給料が増えれば税金も一部増えますが、通常は税金の増加額以上に手取りも増えます。

所得税が増えたことだけを見て、残業代が無意味になったと考えないようにしましょう。


賞与の所得税は毎月の給料と計算方法が違う

ボーナスからも所得税が引かれます。

ただし、賞与の所得税は、毎月の給料と同じ月額表をそのまま使うとは限りません。

原則として、前月の社会保険料等控除後の給与や扶養親族等の人数をもとに「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って計算します。

大まかな流れは次のとおりです。

前月の給与を確認する

社会保険料等控除後の金額を確認する

扶養親族等の人数を確認する

賞与に適用する税率を確認する

賞与から社会保険料等を差し引いた金額へ税率をかける

そのため、同じ金額のボーナスを受け取っても、前月の給与額や扶養状況によって所得税が変わることがあります。


年末調整では何をしている?

年末調整とは、毎月の給料や賞与から差し引かれた所得税と、その人が1年間で本来納める所得税との差額を精算する手続きです。

会社は年末に、次のような情報を確認します。

  • 1年間に支払った給与や賞与
  • 毎月源泉徴収した所得税
  • 基礎控除
  • 社会保険料控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 住宅ローン控除など

これらをもとに、1年間の正しい所得税額を計算します。

国税庁も、年末調整に必要な申告書や手順、控除に関する情報を案内しています。

所得税を多く払っていた場合

毎月引かれた所得税の合計が、本来納める税額より多ければ、差額が還付されます。

12月や1月の給料で、普段より手取りが多くなることがあります。

所得税が不足していた場合

毎月引かれた所得税の合計が、本来納める税額より少なければ、不足分が追加で徴収されます。

その場合は、年末の給料から普段より多く所得税が引かれることがあります。


年末調整をすれば確定申告は必要ない?

会社員の多くは、勤務先で年末調整を受けることで、所得税の手続きが完了します。

ただし、会社員でも確定申告が必要になる場合があります。

代表的な例は次のとおりです。

  • 2か所以上から給与を受け取っている
  • 副業など給与以外の所得がある
  • 年末調整を受けていない
  • 年の途中で退職し、再就職していない
  • 医療費控除を受けたい
  • 寄附金控除を受けたい
  • 住宅ローン控除を初めて受ける
  • 年末調整で申告できなかった控除がある

一方で、確定申告が義務ではなくても、申告することで払いすぎた所得税が戻る場合があります。

自分が確定申告の対象か分からない場合は、国税庁の案内や税務署へ確認しましょう。


所得税と住民税の違い

所得税と住民税は、どちらも給料から引かれることがある税金ですが、同じものではありません。

主な違いは次のとおりです。

比較項目所得税住民税
納める相手都道府県・市区町村
計算のもとその年の所得原則として前年の所得
税率所得が増えるほど段階的に上がる所得割は原則として一定の税率を基本に計算
給料から引かれる時期入社後の給料から引かれることがある前年所得が少ない新卒1年目は引かれないことがある
精算年末調整や確定申告自治体が前年所得をもとに計算

新卒1年目は、前年に学生で収入が少なければ、住民税が給料から引かれていないことがあります。

しかし、社会人として働いた翌年には、その年の所得をもとに住民税が発生する可能性があります。

そのため、社会人2年目になると、

「給料がほとんど変わっていないのに、手取りが減った」

と感じることがあります。

これは、住民税の天引きが始まったことが原因のひとつです。


給料明細ではここを確認しよう

所得税を理解するために、給料明細では次の項目を確認してみましょう。

支給欄

  • 基本給
  • 残業代
  • 通勤手当
  • 資格手当
  • 住宅手当
  • その他の手当
  • 総支給額

控除欄

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税
  • その他の控除

最後に確認する金額

総支給額

社会保険料

所得税

住民税

その他の控除

差引支給額

差引支給額は、実際に銀行口座へ振り込まれる「手取り」に近い金額です。

給料明細を受け取ったら、手取り額だけを見るのではなく、

何が、いくら引かれているのか

も確認する習慣をつけましょう。


所得税が先月より増えたときの確認ポイント

所得税が先月より増えていても、すぐに間違いとは限りません。

次の項目を確認しましょう。

給料が増えていないか

残業代や手当が増えると、所得税も増えることがあります。

社会保険料の金額が変わっていないか

税額表へ当てはめるのは、社会保険料等を差し引いたあとの給与です。

社会保険料が変われば、所得税も変わる可能性があります。

扶養状況が変わっていないか

扶養親族等の人数が変わると、源泉徴収される所得税も変わる場合があります。

甲欄から乙欄になっていないか

扶養控除等申告書の提出状況によって、使用する欄が変わることがあります。

年末調整による追加徴収ではないか

年末調整で不足が判明した場合、普段より多く所得税が引かれることがあります。

分からない場合は、給料明細を手元に用意して、勤務先の給与担当者へ確認しましょう。


所得税についてよくある質問

Q.新卒の初任給からも所得税は引かれる?

所得税が発生する条件に該当すれば、初任給から引かれることがあります。

新卒1年目でも、所得税が自動的に免除されるわけではありません。

ただし、給与額や社会保険料、扶養状況などによっては、源泉所得税が0円になる月もあります。

Q.所得税が0円なのはおかしい?

必ずしもおかしくありません。

社会保険料等控除後の給与が一定額未満の場合や、扶養親族等の人数によっては、甲欄の所得税が0円になる場合があります。令和8年分の税額表でも、条件によって税額が0円となる区分があります。

Q.給料が同じなのに所得税が変わることはある?

あります。

社会保険料、残業代、非課税手当、扶養状況、年末調整などの影響で、所得税が変わる可能性があります。

Q.所得税は払いすぎても戻ってこない?

年末調整や確定申告によって、払いすぎた所得税が還付されることがあります。

ただし、必ず戻るわけではありません。

正しく計算した結果、不足していれば追加で納めることもあります。

Q.会社が所得税を間違えていると思ったら?

まずは給料明細と、扶養控除等申告書の提出状況を確認しましょう。

そのうえで、勤務先の給与担当者へ計算方法を確認します。

自分だけで判断せず、必要に応じて税務署や税理士などへ相談することも大切です。


まとめ|所得税は額面給与に税率をかけるだけではない

所得税は、会社員が1年間に得た所得に対してかかる国の税金です。

毎月の給料では、勤務先が所得税をあらかじめ差し引き、本人に代わって国へ納めています。

今回のポイントをまとめます。

  • 所得税は額面給与のすべてにかかるわけではない
  • 毎月の所得税は、社会保険料等控除後の給与をもとに確認される
  • 扶養親族等の人数によって金額が変わる
  • 扶養控除等申告書を提出していれば、基本的に甲欄が使われる
  • 提出していない場合などは乙欄が使われ、税額が高くなることがある
  • 月給24万円の新社会人では、所得税が月4,000〜5,000円程度になるケースがある
  • 毎月引かれる所得税は概算であり、年末調整で正しい金額へ精算される
  • 所得税と住民税、社会保険料は別のもの

給料明細を見ると、さまざまなお金が引かれていて不安になるかもしれません。

しかし、仕組みを一つずつ理解すれば、

「何のお金か分からない」

という状態から抜け出せます。

まずは自分の給料明細を開き、

  • 総支給額
  • 社会保険料
  • 所得税
  • 住民税
  • 差引支給額

を順番に確認してみましょう。

給料から引かれるお金を理解することは、自分のお金を管理するための第一歩です。

参考資料

この記事は、以下の公的機関の情報を参考に作成しています。

国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」

No.2511 税額表の種類と使い方|国税庁

毎月の給与から源泉徴収する所得税の確認方法や、源泉徴収税額表の甲欄・乙欄の使い分けについて解説されています。

扶養控除等申告書を提出している人には原則として甲欄、提出していない人には乙欄を使用します。

また、税額表へ当てはめる給与額は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを差し引いたあとの金額です。

国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」

令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁

2026年に支払われる給与や賞与から、所得税と復興特別所得税を源泉徴収する際に使用する税額表です。

給与所得の源泉徴収税額表の月額表や日額表、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表などが掲載されています。

国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/data/01-07.pdf

毎月支払われる給与について、社会保険料等控除後の給与額と扶養親族等の人数から、源泉徴収する所得税額を確認できる資料です。

国税庁「年末調整がよくわかるページ」

年末調整がよくわかるページ(令和7年分)|国税庁

年末調整の仕組み、必要な申告書、各種所得控除、年税額の計算方法などがまとめられています。

毎月の給与や賞与から源泉徴収された所得税と、1年間で本来納める所得税との差額は、原則として年末調整で精算されます。

国税庁「所得税の税率」

No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税の税率や、課税所得から所得税額を計算する方法が掲載されています。

所得税は、額面給与全体へ一律の税率をかけるのではなく、所得控除などを差し引いた課税所得をもとに計算されます。

※税制や源泉徴収税額表は、法改正によって変更されることがあります。正確な税額や最新情報については、国税庁の公式サイト、勤務先の給与担当者、税務署などへご確認ください。

関連記事