初めて給料が振り込まれたとき、
「思っていたより少ない……」
と感じた人も多いのではないでしょうか。
求人票や雇用契約書で見た金額と、実際に銀行口座へ振り込まれた金額には差があります。
さらに、家賃やスマホ代、食費などを払っていくと、自由に使えるお金は思った以上に残りません。
僕自身も、初任給は額面24万円ほどでしたが、実際の手取りは約20万円でした。
数字だけを見れば大きく減ったように感じますが、給料が少ないと感じたときに、いきなり転職や副業を始める必要はありません。
最初に確認したいのは、
・給料から何が引かれているのか
・毎月何にお金を使っているのか
・今の会社で給料が上がる可能性があるのか
という3つです。
給料への不満を我慢するのではなく、まずは今の状態を正しく知るところから始めていきましょう。
この記事で分かること
この記事では、給料が少ないと感じた新社会人に向けて、次の内容を分かりやすく解説します。
・額面と手取りの違い
・新社会人が給料を少なく感じやすい理由
・給与明細で確認したい項目
・固定費と変動費の見直し方
・昇給や資格手当を確認する方法
・資格、副業、転職を考える順番
給料を増やす方法だけではなく、今の収入で生活を少し楽にする方法や、将来の収入を考える視点まで整理します。
結論:収入を増やす前に現状を整理しよう
給料が少ないと感じたら、最初にやることは「もっと稼ぐ方法を探すこと」ではありません。
まずは、給与明細と毎月の支出を確認することが大切です。
手取りが少ない原因は、基本給が低いことだけとは限りません。
社会保険料や税金などが想像以上に引かれている場合もあれば、毎月の固定費が大きく、自由に使えるお金が少なくなっている場合もあります。
また、入社直後の給料だけで会社の将来性を決めるのも早いかもしれません。
会社によっては、勤続年数に応じた昇給、資格手当、賞与、残業代などによって、今後の収入が変わる可能性があります。
そのため、次の順番で考えるのがおすすめです。
1.給与明細を確認する
2.毎月の支出を把握する
3.会社の昇給制度や手当を調べる
4.必要なら資格や副業を検討する
5.それでも改善が難しければ転職を考える
大切なのは、勢いだけで仕事を辞めたり、生活に必要なお金まで無理に削ったりしないことです。
今の状況を一つずつ整理してから、自分に合った方法を選びましょう。
新社会人が給料を少なく感じる理由
額面と手取りは同じではない
給料を考えるときに、最初に知っておきたいのが「額面」と「手取り」の違いです。
額面とは、基本給や各種手当などを合計した、会社から支給される金額です。給与明細では「総支給額」などと表示されることがあります。
一方の手取りは、額面から税金や社会保険料などを差し引いたあと、実際に受け取れる金額です。
一般的な会社員の給与からは、主に次のようなお金が引かれます。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税
ただし、加入している保険、年齢、収入、扶養している家族の有無、勤務先などによって、引かれる項目や金額は異なります。
厚生年金保険料は、基本給だけでなく残業手当や通勤手当などを含めた報酬をもとに決められ、原則として会社と本人が負担します。所得税も、毎月の給与や扶養状況などに応じて計算されます。
求人票に「月給24万円」と書かれていても、24万円がそのまま振り込まれるわけではありません。
この違いを知らないと、初任給を見たときに「会社から給料を減らされた」と感じてしまうことがあります。
支出を払ったあとの金額で考えてしまう
給料そのものではなく、生活費を払ったあとに残る金額が少ないため、「給料が少ない」と感じる場合もあります。
たとえば手取りが20万円でも、家賃、通信費、保険料、サブスクなどの固定費が大きければ、自由に使えるお金は少なくなります。
さらに、食費、日用品、交通費、交際費なども必要です。
給料が少ないと感じたときは、
「手取りが少ないのか」
「支出が多いのか」
を分けて考える必要があります。
どちらが悪いという話ではありません。
一人暮らしを始めたばかりなら、家具や家電、仕事着などの出費が重なることもあります。
社会人になった直後は、生活を整えるための一時的な支出も多いため、最初の数か月だけを見て「ずっとこの生活が続く」と決めつけなくても大丈夫です。
学生時代より使えるお金が増えるとは限らない
社会人になると、学生時代より収入は増えます。
しかし同時に、自分で支払うものも増えやすくなります。
家賃や食費だけではなく、通勤、仕事用の服、昼食、職場での付き合いなど、働くために必要なお金もあります。
そのため、給料の金額は増えていても、自由に使えるお金が思ったほど増えないことがあります。
SNSで同世代の給料や貯金額を見て、自分だけ少ないと感じることもあるかもしれません。
ただし、実家暮らしか一人暮らしか、家賃を払っているか、残業代があるかなど、生活条件は人によって大きく違います。
他人の金額だけで判断せず、自分の収入と生活費のバランスを見ることが大切です。
住民税が引かれていない場合もある
新社会人の給与明細では、住民税がまだ引かれていないことがあります。
住民税は原則として前年の所得をもとに計算されるため、前年に一定以上の所得がなかった新社会人は、入社した年の給与から住民税が引かれない場合があります。
その後、前年の所得に応じた住民税が給与から引かれ始めると、昇給していなくても手取りが減ることがあります。
ただし、学生時代にアルバイトなどで一定の所得があった人や、自治体、勤務先の徴収方法などによって状況は異なります。
「社会人2年目になれば、全員必ず同じ時期から住民税が引かれる」とは限らないため、自分の給与明細や自治体から届く通知を確認しましょう。
給与明細で確認するポイント
給与明細は、難しい言葉が並んでいるため、最初はどこを見ればよいか分かりにくいと思います。
しかし、最初からすべての項目を理解する必要はありません。
まずは「支給」「控除」「差引支給額」の3つを確認しましょう。
支給欄
支給欄には、会社から支払われる給料の内訳が書かれています。
主な項目は次のとおりです。
・基本給
・時間外手当
・通勤手当
・資格手当
・住宅手当
・役職手当
基本給は、残業代や一部の手当を除いた給料の土台となる金額です。
求人票に書かれていた月給に、固定残業代や各種手当が含まれていることもあるため、基本給がいくらなのかを確認しておきましょう。
残業をした場合は、時間外手当が正しく反映されているかも確認します。
通勤手当や資格手当など、会社から支給される予定の手当がある場合は、抜けていないかを見ておくと安心です。
控除欄
控除欄には、給料から差し引かれたお金が書かれています。
主な項目は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などです。
2026年度の雇用保険料率は、一般の事業では労働者負担が賃金の0.5%です。ただし、農林水産業、清酒製造業、建設業では異なります。
所得税は、毎月の給与からいったん差し引かれ、一般的な会社員では年末調整によって1年間の税額が精算されます。毎月まったく同じ金額になるとは限りません。
会社独自の制度として、社宅費、食事代、組合費、財形貯蓄などが引かれている場合もあります。
分からない項目があれば、放置せずに会社の担当者へ確認して大丈夫です。
給与明細について質問することは、失礼なことではありません。
差引支給額
差引支給額は、支給額から控除額を引いた、実際に受け取る金額です。
一般的には、この金額が銀行口座へ振り込まれます。
家計を考えるときは、額面ではなく差引支給額を基準にしましょう。
政府広報でも、収支を把握するときは総支給額ではなく、税金や社会保険料を差し引いた手取り収入を確認することが案内されています。
ただし、振込額だけを見るのではなく、
「会社からいくら支給されたのか」
「何がいくら引かれたのか」
まで確認することが大切です。
前月の給与明細がある場合は、支給額や控除額に大きな変化がないか比べてみましょう。
残業時間、手当、社会保険料などが変わった理由に気づきやすくなります。
支出は固定費から見直す
給与明細を確認したら、次は毎月の支出を整理します。
ただし、給料が少ないからといって、食費や日用品を無理に削る必要はありません。
最初に見直したいのは、毎月ほぼ同じ金額が出ていく固定費です。
固定費には、次のようなものがあります。
・家賃
・スマホ料金
・インターネット料金
・保険料
・動画や音楽などのサブスク
・車のローンや駐車場代
固定費は、一度見直すと翌月以降も支出を減らせる可能性があります。
たとえば、月額1,000円の使っていないサービスを解約すれば、1年間で1万2,000円の節約になります。
毎日の食費を無理に削り続けるより、負担が少なく、効果も続きやすい方法です。
固定費と変動費を分ける
支出は、大きく固定費と変動費に分けられます。
固定費は、家賃やスマホ料金のように、毎月ほぼ決まった金額が出ていく支出です。
変動費は、食費、日用品、交際費、趣味など、月によって金額が変わる支出です。
家計を見直すときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
1.使っていない固定費をやめる
2.契約内容を見直す
3.使いすぎている変動費を探す
4.無理なく続けられる予算を決める
すべての支出を細かく記録できなくても大丈夫です。
まずは銀行口座やクレジットカードの利用履歴を見て、「毎月何にいくら払っているか」を確認してみましょう。
削ってはいけないお金もある
節約するときに注意したいのが、必要なお金まで削らないことです。
特に、次のようなお金は慎重に考えましょう。
・健康を維持するための食費
・病院や薬にかかるお金
・仕事で必要な交通費や服装代
・睡眠や生活環境を守るためのお金
・将来の成長につながる学習費
食費を削りすぎて体調を崩したり、仕事に必要なものを我慢して働きにくくなったりしては、長く続きません。
節約の目的は、生活を苦しくすることではありません。
自分にとって優先度の低い支出を減らし、本当に必要なものへお金を使えるようにすることです。
交際費や趣味のお金も、すべてなくす必要はありません。
毎月使える金額を決めて、その範囲で楽しめる形を作る方が続けやすくなります。
今の会社で給料が上がる可能性を確認する
支出を整理したあとは、今の会社で収入が上がる可能性を調べます。
入社したばかりの給料だけを見て、「この会社ではずっと給料が上がらない」と判断するのは早いかもしれません。
会社によっては、昇給や資格手当、賞与などによって、数年後の収入が変わる可能性があります。
確認したいのは、主に次の項目です。
・基本給
・昇給の有無と時期
・資格手当
・賞与の実績
・残業代の計算方法
・住宅手当や通勤手当
・役職や等級による給与の変化
就業規則、給与規程、雇用契約書などに書かれている場合があります。
分からない場合は、会社の担当者や先輩に確認する方法もあります。
基本給を確認する
月給が同じでも、基本給と手当の内訳によって内容は異なります。
たとえば、月給24万円の中に固定残業代や各種手当が多く含まれている場合、基本給は24万円より低くなります。
基本給は、会社によって賞与や一部の手当、残業代などの計算に関係する場合があります。
そのため、月給の合計だけではなく、給与明細や雇用契約書で基本給を確認しておくことが大切です。
固定残業代が含まれている場合は、何時間分の残業代なのか、その時間を超えた分が別に支給されるのかも確認しましょう。
昇給の条件を見る
求人票に「昇給あり」と書かれていても、毎年必ず同じ金額が上がるとは限りません。
会社の業績、本人の評価、勤続年数、保有資格などによって、昇給額が変わることがあります。
確認したいのは、
「いつ評価されるのか」
「何をすれば評価が上がるのか」
という点です。
仕事を頑張ることは大切ですが、会社が何を評価しているのか分からないままでは、努力が給料につながらない可能性もあります。
任される仕事、必要な資格、目標の立て方などを確認すると、今後の行動を決めやすくなります。
賞与や手当は確実な収入とは限らない
賞与は、一般的にボーナスと呼ばれるものです。
会社の業績や本人の評価などによって金額が変わったり、支給されない年があったりする場合もあります。
求人票に前年の実績が書かれていても、将来も同じ金額が支給されるとは限りません。
そのため、毎月の生活費は、賞与を含めずに手取りの範囲で考える方が安心です。
資格手当や住宅手当も、会社ごとに条件が異なります。
対象となる資格、支給額、支給期間、申請方法などを確認しましょう。
給料だけで会社の良し悪しを決めない
給料は、会社を選ぶうえで重要な条件です。
ただし、給料の金額だけで良い会社かどうかを判断するのはおすすめできません。
給料が高くても、長時間労働が続いたり、休みが取りにくかったり、心身への負担が大きかったりすれば、長く働くのが難しくなることがあります。
反対に、現在の給料が少し低くても、次のような良さがある会社もあります。
・残業が少ない
・休日が取りやすい
・人間関係が安定している
・資格取得を支援してくれる
・仕事を通して技術や経験を身につけられる
・数年後の昇給が期待できる
大切なのは、「給料が高いか低いか」だけではなく、働く時間、休日、将来性、仕事内容を含めて考えることです。
今の会社で得られる経験が、将来の収入につながるかという視点も持っておきましょう。
資格・副業・転職を考える順番
給与明細、支出、会社の制度を確認しても、将来のお金に不安が残ることはあります。
その場合は、収入を増やす方法を考えていきます。
ただし、資格、副業、転職を同時に始める必要はありません。
焦って行動を増やしすぎると、本業や生活に負担がかかり、続かなくなる可能性があります。
おすすめしたい順番は、次のとおりです。
1.本業で収入を上げられる方法を探す
最初に、今の会社で収入を上げられる方法がないか確認します。
資格手当の対象となる資格を取る、できる仕事を増やす、評価基準を確認するなど、本業の中でできることを探します。
本業の給料が上がれば、毎月安定して収入が増えます。
また、資格や経験は、今の会社だけでなく、将来転職するときにも役立つ可能性があります。
ただし、取得に多くのお金や時間がかかる資格もあります。
資格を選ぶときは、
・会社の手当につながるか
・現在の仕事に必要か
・転職でも評価されるか
・取得費用に見合うか
を確認してから始めましょう。
「何となく役に立ちそう」という理由だけで資格を増やすより、目的を決めて選ぶことが大切です。
2.余裕があれば副業を検討する
本業と生活に慣れ、時間と体力に余裕がある場合は、副業も選択肢になります。
副業には、収入源を増やせるだけではなく、新しい経験やスキルを身につけられるメリットがあります。
一方で、すぐに安定した収入を得られるとは限りません。
始めるために高額な教材や機材を購入した結果、収入より支出の方が大きくなることもあります。
最初は大きく稼ぐことを目標にせず、無理のない範囲で試す方が安全です。
また、副業を始める前に、会社の就業規則を確認しましょう。
副業が認められていても、事前の申請が必要な場合や、本業と競合する仕事が禁止されている場合があります。
勤務時間や体調管理にも注意が必要です。
本業で疲れている状態で無理に副業をすると、生活全体が苦しくなる可能性があります。
3.改善が難しければ転職を考える
給与が低く、昇給も期待できず、身につく経験も少ない場合は、転職を考えることも選択肢の一つです。
ただし、「給料が少ないからすぐ辞める」という順番ではなく、まず自分が転職によって何を変えたいのかを整理しましょう。
・基本給を上げたい
・休日を増やしたい
・残業を減らしたい
・将来性のある仕事をしたい
・資格や経験を生かしたい
目的が曖昧なまま転職すると、次の会社でも同じ悩みを抱える可能性があります。
転職を考えるときは、求人票の月給だけではなく、基本給、固定残業代、年間休日、賞与、昇給、仕事内容まで確認することが大切です。
現在の仕事を続けながら求人を調べたり、必要なスキルを身につけたりする方法もあります。
生活費に余裕がない状態で勢いだけで退職すると、焦って次の会社を決めることになりかねません。
可能であれば、転職先を決めてから退職する方が安心です。
まとめ:今日からできること
給料が少ないと感じても、最初から自分や会社を責める必要はありません。
まずは、給料が少なく感じる原因を分けて考えることが大切です。
確認する順番を、もう一度整理します。
1.給与明細の支給欄、控除欄、差引支給額を見る
2.額面ではなく、実際の手取りを確認する
3.固定費と変動費を書き出す
4.使っていない固定費から見直す
5.基本給、昇給、資格手当、賞与を確認する
6.本業で収入を上げられる方法を探す
7.必要に応じて資格、副業、転職を検討する
今日すべてを変える必要はありません。
まずは、今月の給与明細を開いて、支給額、控除額、差引支給額の3つを確認してみてください。
次に、銀行口座やクレジットカードの履歴から、毎月自動的に支払っている固定費を一つずつ書き出します。
今の状況を数字で確認できれば、「何となくお金が足りない」という不安を、具体的な課題に変えられます。
給料をすぐに大きく増やすことは難しくても、現状を知り、無理のない改善を積み重ねることは今日から始められます。
参考資料
国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」
給与や賞与から源泉徴収する所得税額の計算に使われる、2026年分の公式資料です。
国税庁「令和8年版 源泉徴収のしかた」
給与所得に対する源泉徴収や年末調整などの基本的な仕組みを確認できる資料です。
日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
厚生年金保険料の計算に使われる標準報酬月額や、報酬に含まれるものを確認できます。

日本年金機構「厚生年金保険料額表」
厚生年金保険料率や、標準報酬月額ごとの保険料額を確認できる公式ページです。

厚生労働省「雇用保険料率について」
2026年度を含む、年度ごとの雇用保険料率を確認できます。
厚生労働省「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」
2026年4月1日から2027年3月31日まで適用される雇用保険料率の公式資料です。
https://www.mhlw.go.jp/content/001692566.pdf
東京都主税局「個人住民税と特別徴収について」
個人住民税が前年の所得をもとに計算され、給与から差し引かれる仕組みを確認できます。

政府広報オンライン「お金の勉強をしませんか?社会人として知っておきたいお金の話」
給与明細、手取り収入、家計管理など、社会人が知っておきたいお金の基本を確認できます。


